〜紹介⽂〜
平野節⼦(ひらのせつこ)さん。今年で70歳になられる彼⼥は、お姿も⾏動もとてもその年齢に⾒えません。
40歳を過ぎるまで専業主婦だった彼⼥が、ビジネスの中で「普通の会社員」として、これまで元気に明るく頑張り続けるエネルギーはどこから来ているのでしょう。
平野さんの⽣き⽅は、これからのビジネスパーソンの「シニアロールモデル」として、⼤きな気づきや刺激をくださいます。
〜インタビュー〜 (インタビュアー:小柳津 誠)
こんにちは!お久しぶりですね。今日は貴重なお時間、ありがとうございます。相変わらず、還暦の僕より十歳上には見えないお姿です。今日は本当に「いくつになっても」元気にお仕事されている平野さんの「今」と、その秘訣をお伺いしたいと思っています。よろしくお願いいたします。
■さて、今のお仕事から教えていただいてよろしいですか?
○一つはマンション管理会社でのマンション管理士としての資格も活かして、中途で入社してくる社員の導入研修と、会社になじむためのサポートを行っています。同時に昨年から自分自身の名刺をもった活動も始めています。
■業界になれていない中途の方向けのCurriculumですね。
〇はい、そうです。うちの会社は「未経験者」を主力として採用しているので、特にこの業界に始めて入社される方がご存じない「関連法案の実務知識」や「各種工事」の要領などについて実務経験をベースに教えています。
■なるほど、それはまさに平野さんが得意なところですね。ちなみに「会社になじむサポート」って何ですか?
〇それはですね、新しいメンバーの方は「未経験者」が多いので、会社の中にいる経験者の皆さんにどうしても気圧されるところがあって。でも会社としては未経験者だからこその視点や元気の良さを大切にしたい、という目論見があるので、私が実務経験をベースにして新しいメンバーの方に寄り添い、そういう軋轢というかストレスを解消し回避するお手伝いをする役目をさせていただいています。
■なるほど、そういう人間関係構築前の人と人の間に立つには「年齢」というの要素と「女性」という要素はいずれも大切な要素かもしれないですね。管理会社でのお仕事は、ご存じのように僕も以前ご一緒しいていましたから、よく存じ上げていますが、ご自身で活動されているのはどんなお仕事ですか?
○昨年から、自分の名刺を作ろうと考えていて。おやさん(インタビュアー小柳津の事)からのアドバイスもあって、自分自身のイメージで「Creative House Consulting」という肩書をつくりました。自分が培ってきた仕事を形にしていきたいかなと。
■実際に仕事を通じて様々なお客様からのご相談もありましたしね。そこに至る経過と、具体的な活動内容って教えていただけます?
○41際の時に専業主婦から初めてお仕事をするようになって、もう30年近くたちます。その間、おやさんと一緒にお仕事していたマンションを中心に「マイホーム」、特に集合住宅を中心とした「住まい」の相談を受けていました。その中で、自然とお仕事で気づいた事や自分が役に立つ部分が見えてきた感じがします。最初から「これをヤルぞ!」的な立派な目標や強いこだわりがあった訳ではないんですよ。(笑)
■41歳まで専業主婦していて、今、70歳で正社員やっていて、更に独立でのお仕事も考えているって、ほんと「元気」の見本ですね。男性の僕から見ても感心します。
○うーん、すごいかなぁ?本人はあまり実感もしてないけど。生活上の必然性もあったし。私、41歳の時に離婚していて、生活の自立は不可欠だったし。離婚は全然後ろ向きに捉えてないけど、子供には迷惑かけたくはなかったので、一定の自覚というか「頑張ろう」という意識はあったかな。でもね、私は自分自身が「頑張った」というより、「自分自身が頑張れる環境」に恵まれた。と感じていて。だから「運が良かった」という感じなのだけど。
■「人生に「運」は無関係だ」とは思ってないのですけど、当時を知っている僕から言わせてもらうと、「自分自身が頑張り易い環境」に平野さん自身がしていましたよ。だから、「運」的な要素ではなくて、ご本人の「頑張り」の結果だと思いますけど。
○おやさん、褒め過ぎですよ。でも一つ言えるのは、頑張る事自体は「辛い」とか「嫌だ」とかは感じなかったですね。初めてのお仕事でしたから何かにつけて新鮮だったし、色んな日常的な刺激が楽しかったかな。それが幸いしたのかも。
■そうだよね。平野さん自身の「楽しげ」な雰囲気に、周りのみんなは自然に巻き込まれていましたよね。それまでは、いわゆる「巻き込み力」が強い人が組織を引っ張っていた傾向が強かったけれど、平野さんの場合はみんながあなたと一緒に仕事する雰囲気を楽しんでいたからね。ある意味「巻き込まれたい力」が強かったなぁと思う。
〇そう言ってもらえるのは嬉しいですけど、実感はあまりないかな。誰かを楽しませるって意識より「自分が楽しまないと損」ってくらいの意識でしたし。(笑)一方でやっぱり思い返すと「周りの人に恵まれた」のは事実だと思います。
〇当時、お客様はマンションの住民=それも分譲マンションだから区分所有者=の皆さんでした。建物や法律の専門知識がない事は仕方なくても、一人一人の意見が全く違っていて、その調整は理屈だけでは難しいところがありました。そういった体験から、色んな法律的な知識から財務諸表の読み方、人のメンタリティまで、色んな事が学べたし実践できましたね。そういう意味では面倒な仕事(笑)に向き合えた事が役立ちました。
■会社を選ぶ時に自分との相性とかは考えていたんですか?
〇もう全然考えてなかったです。(笑)あれこれ考えるというよりは、その時の流れに身を任せていました。かえって中途半端なこだわりを新しい職場に持たなかった事がよかったのかもしれませんね。
■なんか「自然体感」満載ですね。(笑) では、これからはどんな事をされたいと思われているのですか?
〇今の会社は結構私を大事にしてくれますので、本当にありがたいとは思っています。若手社員の指導係的な役割はこれまでのCareerも活かせるし、やりやすい環境です。とはいえ、私も70台になってきますから、いつまで「会社」にいれるかわかりませんし、徐々に個人としてもお仕事ができるように色んな事に手を出してみようかなと。どちらにしても今までやってきたCareerをうまく活かしたいとは考えています。一応それを一言で表現したのが「Creative House Consulting」なんですけどね。いずれにしてもこれからですけど。
■今日はありがとうございました。本当にこれから先が楽しみですね。そんな女性ビジネスパーソンそうはいないですよ。あらためて感心しました。
★Resda’s Eye★ 〜レスダ理事からのコメント〜
平野さんの魅力は、なんと言っても「普通の主婦」からの、「普通の主婦らしさ」を活かしたビジネスパーソン、という点にあると思います。
私は元々リクルートという会社を皮切りに、女性が活躍している会社(組織)を色々と経験させていただきました。どの会社の女性も、現在の「男性社会」が色濃く残る企業風土の中で、孤軍奮闘しながらも成果を出しており、とても魅力的で素敵な方々ばかりでした。
ただ、そういう女性は若い時から、ある意味で男勝り、男性と全く「遜色ない」活躍をされていた方が多かったと感じています。もちろんそれは、そういう女性のみを評価してきた組織や会社・社会の歪みもあると思いますが、一方で、平野さんは男勝りとは異なり、とても「普通」の感覚で、活躍されているところが魅力的です。
しかも、彼女は今年で「70歳」です。
彼女の生き方をみると、女性だから、高齢だからなどの、一見「どうしようもない」と諦めてしまいそうな事情も、単なる言い訳に思えてしまいます。本人の意識や言動で世の中は変わる、視界が拡がるのだと感じます。
今回のインタビュー内容が皆さんのこれからの生き方などの参考になれば、きっと平野さんもお喜びいただけると思っています。